店舗を持たないスモール開業のベーカリーについて

私は、元々は製パン会社が運営するテナント型ベーカリーの店長をしていました。

ですので、パン屋でもあるし、会社員だったのだと思います。

 

専門学校を卒業してから長く、上司の指示に従い、パンという製品を作り、売上と利益を会社にもたらし、毎月、前年の売上と照らし合わせて、前年比を上回るにはどうすればいいか、シフトの采配により、人件費を管理し、会社の方向性はどこにあるか、上司の考えは、母体となるスーパーに競合は出来ていないか…

頭の中は、主にそういった事に占められていました。

 

そんな人間には、「個人のパン屋さん」が考えている事、パンが作れたにしても独立する事の具体的なビジョンなんて全くわからないわけです。元々、四六時中パンを作っているのだから、独立してパン屋をするなんて簡単でしょ、と思われるかもしれませんが、実際問題、延長線上ではないのです。

 

まして、次々と新店がオープンするタイプの会社だった為、新店の立ち上げに関わる機会も多々ありました。

その中で、パン屋を開業するには、大型のオーブン、ホイロ、ミキサー、冷蔵庫…高額な機材を一度に購入して、沢山の資金を投じたとしても、成功するかどうかは、ふたを開けてみないとわからない、そういった商売であると感じていました。

沢山の店舗があれば、カバーしあう事も可能ですが、自分でするなら一発勝負、そんな人生をかけた大博打を、する気にはなれなかったですね。

 

ただ、会社だから出来ること、守られている部分も当然ありますが、会社だから出来ない事は当然あります。今のように、天然酵母で状態を見極めながら、なんて個人の主観に頼った方法は、組織的に店舗展開するなんて確実に無理です。

イーストを併用していないので、発酵時間もまちまちですしね。

 

教育指導により、安定してオペレーションを組める商品構成で、自分がプレイヤーにならず、ベースの利益店舗を作れば、指揮官にまわって全体を管理し、模範店を増産する。

そのラインが正しいのは分かっていても、心からそれをしたい、と没頭出来るかどうかとは、話が別だと思います。

 

当時は、作れもしないくせに、漠然と憧れるこんなパンが作りたい、といって会社を辞める事って、子供じみてて甘ったるい考えなのかなぁ、これが現実社会の厳しさかな、くらいに思っていました。

 

ですが、周りの環境や一緒にいる人達がなんていうか、よりも自分は本当はどうしたいのか、を大事にしなければ、誰の為に何の為に生きてるか、という本質的な所を見失ってしまいます。

 

そのジレンマと葛藤を抱えて、常に考えているからこそ、今のスタイルに行き着いたのだと思います。

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5年前 実家のコタツの上で、こんな感じのパン屋さんがしたい!(^^)!、と妄想中

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やっぱり可愛い系…

奥で、レーズン酵母をいじった後と、失敗してるやん!なパンが写ってます。

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そして、ガッツリしたものを作りたがる